An Immunohistochemical Study of RB Tumor Suppressor Gene Protein and bcl-2 Gene Protein in Carcinomas of the Thyroid Gland.

Abstract
甲状腺分化癌の病態とRB, bcl-2遺伝子との関係についての報告は少ない. 本研究ではこの関係を調査する目的で, 免疫組織学的手法を用い, 再発の有無, 他の臨床的予後因子との関係,生存率との関係を検討した. 対象は1980年から1990年の間に愛知県がんセンター頭頸部外科にて手術された甲状腺分化癌 135例(乳頭癌1311例, 濾胞癌5例)で, 少なくとも5年以上経過観察し得た症例を対象とした. 免疫組織化学法はABC 法 (Abidin Bint Peroxidase Complex methrod)に従い染色を行い, DAB (dlanobenzine,3, 3'ージアミノベンチジン)反応を行い, 発色を行った. その結果, RB蛋白陰性例では, 陽性例より有意に再発率が高かった. またRB 蛋発現と臨床的予後因子については, 年齢, N分類, M分類が統計掌的に有意な関連性を認めた.RB蛋白発現と生存率では,陽性例は陰性例より生存率が有意に高かった. 一方bcl-2白発現と臨床的予後因子についてはT分類で統計学的に有意な関連性を認めた. しかしbcl-2蛋白発現と再発率,生存率との間には有意な関連性は認めなかった.以上の結果より, 免疫組織化学法による RB 蛋白発現の評価は甲状線分化癌の病態を反映すると考えられ, 今後, 予後因子としての活用が期待されることが示唆された.