Studies on Absorption, Translocation and Metabolic Fate of Radio Active Inezin in Rice Plant

Abstract
有機リン殺菌剤イネジン(O-ethyl, phenyl-S-benzylthiophosphonate)の水稲体内における吸収,移行代謝分解の実験を行ない,次の結果が得られた. (1) ラジオオートグラフィー法の定性的な検討によると,局所塗布法による32Pイネジンまたはその代謝産物の移行性は小さく,薬剤は同一節内部でのみ移行し,上方へ移行する傾向が見られた.ただし,節間での移行は認められず,塗布部位の違いによる差,経時的な差も認められなかった. (2) 経根的に吸収させたイネジンは植物全体に移行する. (3) 稲体からの抽出物の大部分の放射活性はn-ヘキサン層に認められ,ヘキサン可溶物質は代謝されずに残ったイネジンとして同定された. (4) 70%メタノール抽出物は3~8日の間増加し,代謝産物としてエトキシフェニルチオリン酸,脱エチルイネジン,フェニルチオリン酸,エトキシチオリン酸を同定し,そのほかに未確認物質を1つ得た. X線フィルムによるラジオオートグラムと代謝物を定量した結果より,イネジンの主な分解過程はエトキシフェニルチオリン酸ができ,それがフェニルチオリン酸に代謝されていく経路である.次にイネジンが脱エチルイネジンに代謝され,それがフェニルチオリン酸に分解される過程も多いと考えられる.