The Survival and the Local Recurrence Rates of Cases of the Autonomic Nerve Preserving Operation for Rectal Cancer.

Abstract
術後の排尿機能障害および男性性機能障害を最小限にする目的でわれわれは過去9年間に375例の直腸癌に対して自律神経温存手術を行った,自律神経温存術で最も問題となることは神経を残すことにより癌に対する根治性がそこなわれないか,そしてこの手術の適応はどのような進行度かということである。そこで自験例の生存率および局所再発率を算出し拡大郭清を伴う直腸切除術または直腸切断術症例と比較した.ただし自律神経温存群と拡大郭清群は無作為抽出法によるものではなくhistororical controlである.自律神経温存症例の累積5年,9年生存率は77.7%,70.3%(n=375)であった,また拡大郭清例の累積5年,9年生存率は62.5%,57.2%(n=204)であった.つぎに占居部位,深達度,リンパ節転移,組織型の因子から分類して生存率を拡大郭清症例と比較したが,すべての群で自律神経温存症例が拡大郭清症例よりよいか同等であった.また自律神経温存症例の累積5年局所再発率は12.6%,拡大郭清症例は23.1%であった.下部直腸癌についてpm,a1,a2の深達度にわけて自律神経温存症例の局所再発率をみても拡大郭清症例とかわりなかった.このなかでも深達度pm,n(-),高分化腺癌の条件を満たすものはとくに術後成績が良く自律神経温存の適応としてもよい1これ以上進行した直腸癌では癌に対する根治性をまず優先し癌の肛門側縁から2cm以上離れたところで部分的な温存が可能であれば自律神経を温存する.