Abstract
長野県松本市近郊A村の住民を対象とし,昭和57年より3年間継続して大腸集検を実施した.集検方式は問診と便潜血による一次スクリーニング後,二次スクリーニングとしてsigmoidoscopyを行う方法を採用した.参加者はのべ総数4,388人,3年間の平均が対象者(40歳以上)の67%1,463人で,このうち問診陽性者,便潜血陽性者,要内視鏡検査者はそれぞれ5.0%,8.1%,11.6%であった.癌7人,0.16%(早期癌3人,0.07%,進行癌4人,0.09%),ポリープ54人,123%が発見された.2年目,3年目に発見された進行癌の3症例は,いずれも前年度の便潜血は陰性であった.ポリープも3年間を通じ高率に発見された。なお内視鏡検査の脱落者のなかに他医により早期癌と診断された例もある.以上より問診便潜血によるスクリーニングでは,false negativeの欠点を補充するため,逐年検診が必須と考えられる,また精検過程での脱落者への対応も必要と思われる.