High-Yielding Performance of Paddy Rice Achieved in Yunnan Province, China. I. High yielding ability of Japonica F1 hybrid rice, Yu-Za 29.

Abstract
中国雲南省において1,500gm-2以上の籾収量をあげ得ることを実証し, 多収の成立機構について具体的な知見を得ようとした. 楡雑29号を賓川県の慣行の栽植密度(密植区: 78.5株m-2)で栽培し籾収量1,664gm-2 (700m2刈り取り)を得た. さらに, 慣行の約1/2の栽植密度(疎植区: 42.7株m-2で極めて高水準の籾収量1,982gm-2(6m2刈り取り)が得られた. 全生育期間の平均日射量は19.3MJm-2d-1と, 日本における国際生物学事業計画(JIBP)で示され5カ年の平均値16.1MJ m-2 d-1に比べ約20%多かった. 楡雑29号の全生育期間の地上部全重でみた光エネルギー利用効率(Eu)はJIBPにおける5カ年の平均値(1.25%)よりも28~50%も高かく, 子実重ではさらに高くJIBPの最高値(0.59%)よりも17~49%高かった. Euの増加のほうがはるかに大きいことから楡雑29号の多収には日平均日射量の多いことよりもEuの向上が大きく寄与していると考えられた. 楡雑29号は成熟期の地上部全重2,500gm-2以上で籾重/地上部全重は0.6以上を, また, 1,180gm-2以上のわら重で籾わら比は1.4以上をそれぞれ示した. m2当たりの籾数は71,000~87,700粒に達した. 精玄米千粒重は23.1~23.5g, 登熟歩合は76.0~76.2%であった. 楡雑29号は乾物生産と籾への乾物分配率がともに高く, また, m2当たり籾数が著しく多い割りに比較的高い登熟歩合が得られ, この特性は密植区よりも疎植区において顕著であった. 楡雑29号の疎植栽培は慣行の密植栽培に比べ省力・多収となる可能性が示唆された.