Electron microscopic study on the innervation of the human liver.

Abstract
ほぼ正常な肝組織像を呈した人の肝内の神経分布について電顕的観察を行った.門脈域の結合織内には神経軸索の集合束を多数認めた.集合東は門脈,胆管,動脈,リンパ管などの周囲に存在する線維芽細胞の細胞質突起に近接して分布し,門脈内皮細胞とは基底膜を介して接していた.小葉中間帯ではDisse腔内を走行する軸索の集合束を認めた.軸索終末は伊東細胞や肝細胞とシナプス形成したり直接接していた.類洞内皮細胞とはDisse腔を介して接していた.軸索終末の近傍には膠原線維も認めた.小葉中心部では肝細胞間を走行する軸索,肝細胞や筋線維芽細胞と接する軸索終宋を認めたが,中心静脈内皮細胞とは基底膜を介して接していた.さらに,軸索終末内には直径約50nmの顆粒・無顆粒小胞,直径約100nmの有芯性小胞が存在することより,人の肝ではアドレナリン作動性の神経支配により肝内各細胞が代謝や脈管の収縮などの機能に関与するものと思われた.