Effects of Walls on the Carbon Deposition from Methane

Abstract
炭化水素類の熱分解における一つの基礎過程である炭素析出現象について,もっとも単純なメタンが熱分解して炭素を形成する場合に壁の物質がどう影響するかを検討した。密閉型の熱天秤に各種の金属板を吊し,900または1020℃,圧力300mmHgでメタンを熱分解させて,金属板の増量速度を測定した。鉄,ニッケルでは炭素析出が著しく,その形状はすすまたは灰色の黒鉛であった。チタン,タングステン,ケイ素では,炭化が起こり黒鉛は形成しなかった。金,銀,銅では光沢のある黒鉛の薄膜ができたが,その成長速度はきわめて遅かった。これらの傾向は各固体物質と炭素との親和性があまり大きければ炭化物になってしまい,またあまり小さければ反応しないので,ともに炭素形成の触媒能はないが,その中間であまり安定でない炭化物を作る場合に大きい触媒能を示すとして説明できる。また鉄表面での炭素析出の形状は析出開始時温度によって著しく異なり,ある場合にはウィスカーも成長することを認めた。