Abstract
七尾湾西湾, 南湾, および北湾から採取した21個の浅海底土試料中の微量元素, ニッケル, コバルト, 銅, 亜鉛, 鉛, カドミウム, クロム, バナジウム, モリブデン, ジルコニウム, ガリウムを定量した. これらの微量元素のうち'ニッケル (平均値14±5ppm), コバルト (平均値6±2ppm), 亜鉛 (平均値51±7ppm), バナジウム (平均値39±6ppm), モリブデン (平均値0.5±0.3 ppm) は遠洋深海堆積物ほど, これらの浅海堆積物には濃縮されていない. ガリウム (平均値12±3ppm) は両堆積物中にほぼ同じ程度の存在量を示す. 鉛 (平均値55±6ppm) とジルコニウム (平均値101±46ppm) は本州, 朝鮮沿岸およびParia湾からの浅海堆積物に比較すると, 七尾湾堆積物にかなり多い点が注目される.また七尾湾浅海堆積物と深海堆積物の赤粘土を比べると両者のニッケルとコバルト含量に大きな差異があるにもかかわらず, Co/Niの比がほぼ一定であることがわかった.ニッケル, 亜鉛, ガリウム含量とアルミニウ含量との間には正の相関々係があり, またバナジウム含量と硫黄含量との間にも同様の関係が認められる.