The Anion-induced Conformational Transition of Poly(L-homoarginine)

Abstract
ポリ(L-リシン)(PLL)と同数のメチレン基を側鎖に有するポリ(L-ホモアルギニン)(PLHA)の旋光分散,塩析,電気伝導度および粘度に対するCl-, Br-,I-, ClO4-およびSCN-の効果を25℃で調べ,PLLに対するデータと比較した。旋光分散よりのヘリックス誘導効果および塩析は,PLLに対するよりも低い塩濃度で認められ,その対イオン順列はCl-≦Br--4- -であった。PLHAの各対イオン塩の水溶液の比伝導度に対する加成性は成立せず,その偏僑から推定される対イオンの非静電的結合度順列はCl-~Br-- 4-~SCN-で,PLLの対イオン結合度およびPLHAの還元粘度を減少させる順列と類似している。 これらのことから,水構造破壊能の大きい陰イオンほど高分子疎水表面に接近でき,高分子上荷電とイオン対を形成しやすいことが分子形態転移の原因であり,アミノ基よりグアニジノ基の方がより水構造をこわすためにPLHAがPLLより容易に陰イオンによりコイル→ ヘリックス転移すると結論された。