Abstract
通常のStark変調マイクロ波分光器を以下の2点について改良し,吸収線の相対強度を定量的に測れるようにした。第一にマイクロ波の吸収セル内での多重反射を防ぐために,セルの入口と出口に一対のフェライト単向器を挿入した。第二に信号の検出,増幅回路の非直線性を避けるため,可変減衰器を製作し,これによって比較すべき2本の吸収線が同じ大きさに観測されるようにした。性能を検討するため塩化アリルgauche形について35Clと37Clの存在比を求めたところ37Cl/35Cl=0.319±0.017となり,丈献値0.326とよく一致した。さらに触媒上で重水との交換によって得られた重水素化プロピレンの異性体の存在比を定量的に測定し,マイクロ波の方法が分析手段としても他の方法より有力であることを示した。さらに遠赤外分光器としての使途を検討した。