Abstract
結核治療剤かアミノサリチル酸の重金属錯塩をつくってその抗菌性を増し,かつこれら錯塩に水溶性を与えることを目的として,銅,ニッケルおよびコバルトにつきCi4H12N206MII・nH20(MII=Cu,NiまたはCo),.およびC14HloN206MIIX・nH20(X=K,NaまたはC5H5NH)の組成の錯塩を合成した。前者は水にとけないQ後者は水では分解されるが,水酸化アルカリ水溶液にはかなり安定にとける。つぎにρ 一アミノサリチル酸をサリチルアルデヒドに作用させて,赤榿色のシップ氏塩基を得たが,これには錯塩をつくりうる場所がいろいろ考えられる。これについて申心金属がサリチリデンアミノ残基とだけ結合しているニッケルおよびコバルト錯塩を合成した。銅については有機残基と中心金属の比が1:1の錯塩をうることができた。また,P-一アミノサリチル酸から誘導されるジアゾニウム塩にSandmeyer法を適用して,いままで比較的合成の困難だったρ一クロルー,ρ 一プロムー,およびρ 一ヨードサリチル酸をよい収量で合成することができた。さらに上述のジアゾニウム塩を1一フェニルー3一メチルー5-一ピラゾロンに作用させて4一アゾ誘導体を合成し,またこのジアゾニウム塩から導かれるヒドラジンをアセト酢酸エチルエステルに作用させて,1-(3一オキシー4一カルボキシーフェニル)-3一メチルー5一ピラゾロンを合成した。これら2物質は医薬上興味あるものと思われる