Abstract
直射光及び太陽周辺の空の光を分光測光するために新しい装置を設計製作した。その主な部分は,テレスコープ,ダブルモノクロメーター及び二次電子増倍管であり,テレスコープの開口角は約54'であつて,空の任意の方向からの光を取り出す事が可能で,太陽から1° 離れた方向まで測定出来る様特に注意して設計した。周辺光については太陽を含む鉛直面内で,太陽から天頂の方え2°,3°,4°,5°,6° 及び10° の方向の光を,種々の太陽高度において4種の波長について測定した。直射光は,約12ケの波長を選び出し,種々の太陽高度について測定を行つた。直射光の測定から求めた消散係数の波長に対する変化の模様は近紫外部では,短波長の方え急激に増大する傾向を有し,可視部の長波長部分では殆ど変化がない。又,近紫外部において Sekera及び Deirmendjianが問題として取上げている異常な透明現象は観測されていない。周辺光の測定から得られた結果の一つとして,極めて太陽高度の低い時に,空の光が太陽から離れるに従つて強度を増す傾向を示しているが,これは,空気分子の多重散乱による影響として説明される様である。以上の二種類の測定の結果を,Deirmendjianあるいは Bullrichの計算値と比べて見ると,大気中に存在するエーロゾルの粒度分布としては,所謂4乗則とは異つたものに対応している傾向が見られた。