Physicochemical properties of Nagaimo (yam) starch.

Abstract
ナガイモ澱粉の基本的な構造と性質について検討し, 下記のような結果が得られた.1) ヨウ素結合量から求められた澱粉のアミロース含量は, 22%であった.2) アミロースの数平均重合度は2,000, 重量平均重合度は6,300で比較的分布が広いこと, 非還元末端基当りの重合度は525で, 分子当りの単位鎖の数は平均約4本であった.3) アミロペクチンのリン結合量は139ppmで大部分がグルコース残基の6位に結合していた. アミロペクチンの単位鎖を低角度レーザー光散乱法で測定した結果, 三つの画分に分かれ, 溶出ピークの頂点における鎖長は61, 42, 15で, 重量パーセントでおのおの7%, 26%, 67%であった. 他種のアミロペクチンは, 四つのピークを示すことと比較して特徴的であった.4) ナガイモ澱粉の5%の水懸濁液を一定温度で20分間加熱して糊化したとき, 加熱温度が60℃までは, 糊化度0%であり, 65℃で急激に糊化度が上昇した.5) 4%濃度のブラベンダー・アミログラムの糊化開始温度は66℃で, 最高粘度は695 B. U. でジャガイモ澱粉と類似した性質を示した.6) 完全糊化したナガイモ澱粉糊 (5%) を0℃に保存すると, ジャガイモ, クズ澱粉と比較して糊化度の低下は速やかであった.7) 澱粉粒の結晶構造は, B型であった.以上, この澱粉はよく知られた澱粉のなかでは比較的ジャガイモ澱粉に似た性質を有することが認められた.