Occult(TX) lung cancers located peripherally beyond the range of optimal bronchoscopic visibilities. Problems in cytological method of localization.

Abstract
胸部X線無所見で気管支鏡無所見のTX肺癌例のうち, 病変が気管支鏡の可視範囲外に存在した5例 (扁平上皮癌4例, 腺癌1例) を対象として局在部位同定に至る過程を分析した.部位別に採取した細胞診の標本上に出現した癌を疑いうる異型を有する単個細胞数を計数し, またシート状に出現してくる異型細胞集団は前記の細胞数のなかには加えず細胞集団の数として計数比較検討した. その結果病巣を擦過した場合には多数の癌細胞が採取され, なおかつ主としてライトグリーン好性に染色される結合性の強いシート状細胞集団が多数出現していた. このライトグリーン好性で結合性の強い集団の存在が局在部位を同定するうえでの強い根拠となり得た. 全体を通してみてみると癌細胞が全く採取されないことがあり, また部位別に採取した吸引物中の癌細胞の分布が必ずしも常に病巣の存在部位と一致するとは限らない. また多数の検体を一度に扱うことによる検体の取り違えや喀痰の気管支内移動に伴う部位診断の誤りの可能性もあり, 十分注意する必要がある. したがって局在部位同定のためには, 擦過細胞診によって前記のように多数の異型細胞が結合性の強いシート状集団で, 同一気管支から繰り返し2回以上採取されるまで根気強く検査を繰り返すことが必要である.