Endoscopic Endonasal Surgery with Image-Guidance.

Abstract
内視鏡下鼻内手術にナビゲーションシステムを導入し,その有用性について検討した.対象は,1998年7月より1999年5月までの間に,当科において磁気式ナビゲーションシステムInsta TrakTM(米国Visualization Technology社製)を用いて手術を施行した33症例とした.内訳は,慢性副鼻腔炎8例,副鼻腔嚢胞14例,副鼻腔腫瘍(生検)1例,トルコ鞍内嚢胞(ラトケ嚢胞)1例,および脳下垂体腫瘍9例であった.Insta TrakTMは,磁場をかけた術野における金属プローブの位置を,3次元的に再構築されたCT像上に表示し,慰者の頭部固定の必要がなく,術者の自由度が高いのが特徴である.対象とした全症例において,InstaTrakTMの使用により副鼻腔天蓋,視神経管などの解剖学的危険部位が的確に確認され.病変部位への到達と病変の処置が円滑に行い得た.また病変が強く出血の多い症例や,既往の手術で副鼻腔形態が変貌している症例など術野のオリエンテーションがつきにくい症例において,本システムは存分に威力を発揮した.特に前頭洞,蝶形骨洞や,脳下垂体の病変に対しては,非常に有用であると考えられた.一方,機械の操作に慣れないと手術時間が通常より長くなること,高価格であることなどが欠点として挙げられた.ナビゲーションポイントには常に最大2mm程度の誤差が存在する可能性があり,本システムは術者の解剖学的知識を裏付けて,安全に適切な手術操作を可能とするための手術支援装置として利用することが肝要であると考えた.