On the Bacteria Isolated Anaerobically from Paddy Field Soil Part I

Abstract
湛水による水田土壌の偏性嫌気性菌相および通性嫌気性菌相の変化について研究を行なった. 湛水前,湛水期間および落水後にわたる4時期に土壌を採取し,希釈後平板培養を行なった.平板上で生育したコロニーのうち約300菌株を釣菌して,嫌気度を調べて通性嫌気性菌と偏性嫌気性菌に2大別した.さらに,それぞれの性質を詳しく調べて類別化を行ない(類別化については別に報告する),類別化された菌群の湛水前後における変化について検討した.その結果, (1) 全嫌気性菌数は湛水前は約2×105/g乾土であった.湛水直後,細菌数は増加して, 1×106/g乾土になり,湛水経過日数とともに減少し,湛水約1か月後には約3×105/g乾土であった. (2) 全期間をつうじて,通性嫌気性菌が偏性嫌気性菌よりも多い菌数を示した.全嫌気性菌数に対する偏性嫌気性菌数の比率は30%前後であった. (3) 湛水によって著しく影響を受ける細菌群はE. freundiiA. hydrophilaなどであり,余り影響を受けない細菌群はBacillusClostridiumであった. (4) B. lichenifovmisはいずれの時期にも分離され,湛水後にはそれ以外にB. pumilus, B. cereus, B. circulansが分離された. (5) 偏性嫌気性菌のほとんどはClostridiumであり,蛋白質分解性の強いCl. putrefaciens, Cl. lentoputrescensCl. cadaverisが全期間をつうじて分離された.湛水期間にはこれら以外にCl. indologenes, Cl. tertium, Cl. bifermentans, Cl. capitovaleが分離された.