A CASE REPORT OF PAROXYSMAL NOCTURNAL HEMOGLOBINURIA

Abstract
24才,女子.外来初診時臨床的には溶血症候群が明らかでなく,血清鉄低下,不飽和鉄結合能の上昇,赤血球遊離プロトポルフィリンの増加等が認められ,青年女子に多い鉄欠乏性貧血と誤診し,精査の結果発作性夜間血色素尿症と診断し得た症例を報告した。本例においては,溶血発作は感染症併発時および月経前後に発現する傾向があり,溶血発作のみでなく緩解期にも大量の鉄が尿中に排泄されることを知り,本症の診断に当り鉄欠乏性貧血との鑑別に留意すべき点を強調した.また腎生検により尿細管上皮殊に近位尿細管上皮に著しい鉄沈着を認めた.患者および正常人との間のCr51標識赤血球の交換輸血の成績より,本症の主病変が血球にあることを確認した.zymosan処理によりpraperdinを除去した血清よりなるHam溶血系では患者血球の溶血は認めず,これにthrombinを添加すると輕度の溶血を認め, zymosan処理thrombinの添加では溶血は発現しなかつた.これらの成績より本症赤血球の溶血機転を考察した.